いまドキインタビュー
「三谷幸喜」



三谷幸喜
2011年に50歳を迎えたことを契機に、怒涛の脚本書き下ろしを敢行した三谷幸喜。中でも2月に仙台で公演が予定される『90ミニッツ』は、かつてない「挑戦作」だという。上質のコメディを作らせれば敵う者なしの彼が、新たに生み出した舞台とは。その誕生の経緯について聞く。
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きっかけは、かつて組んだ
俳優からの「依頼」だった
『90ミニッツ』は、『笑の大学』(西村雅彦・近藤芳正の二人のみで演じられた舞台)以来、15年ぶりにお書きになった二人芝居とうかがっています。通常の舞台と比べ制約も多いと思うのですが、なぜ二人芝居というスタイルを選ばれたのでしょう。
三谷◆『90ミニッツ』をやるにあたって、まず近藤芳正さんから「西村(雅彦)と『笑の大学』を再演したい」という話があったんですね。それで、この二人とやろうということになったんだけど、僕としてはせっかくなら評価が定まったものより新しいものをやりたいという気持ちがあって、この作品を書くことになったんです。だから"二人芝居を書いた"というより、"西村と近藤さんありき、というところから二人芝居になった"という流れですね。

キャスティングも『笑の大学』と一緒なのは、そんな経緯があったからなんですね。三谷さんは「当て書き(俳優に合わせて脚本を書く)」をするそうですが、今回はおふたりに、どのような役柄を用意したのでしょうか。
三谷◆二人と舞台の仕事をするのは、東京サンシャインボーイズの復活公演をのぞくと本当に久々なんです。だから僕にとっては今の二人のイメージより、出会った頃の20代前半のイメージが強いんですよ。でも今、当時の印象のまま台本を書いたり芝居をつけたりすると、絶対に違和感が出てくる。だから台本の段階では役柄の設定に振り幅を持たせておいて、稽古で今の彼らを見ながらそれぞれの役に肉付けしていきました。劇中で二人には、倫理と現実の間で葛藤する役を演じてもらっていますが、そこには今の彼らも反映されているんじゃないかと思います。

若い頃のお二人を知る三谷さんだからこその演出になっているんですね。三谷さんにとって、西村さんと近藤さんのお二人はどんな役者さんでしょうか。
三谷◆この二人は僕が知っている俳優さんの中では特殊な感じがするんですよね。俳優さんって基本的に"待つ"仕事じゃないですか。でも西村も近藤さんも"自分から仕掛けていく"人たちなんですよ。自分で企画を立てたり演出をしたりする。お芝居だけじゃなくてダンス公演を企画したり、歌を歌ったりもするし。こういう多方面に自分からどんどん仕掛けていくタイプの方ってあんまりいないんですよ。だから二人とも演出家としての目を持っているし、こちらの意図を理解してくれたら、それを確実に形にしてくれますね。まあ、年齢のせいなのか理解してもらうまでに、ちょっと時間がかかる気がするけど(笑)。ただ、今回のように挑戦的な要素が多い作品には、この二人だからこそ挑めるという部分もあります。

そんな鉄壁の布陣で臨む『90ミニッツ』。脚本・演出の三谷さんにとっても、相当な「挑戦」だったようですが。
三谷◆西村と近藤さんという同じコンビでやった『笑の大学』は、"コメディ"がテーマになっているコメディでしたから、本当に"THE喜劇"という感じだった。でもコメディであれを超えるのは難しいし、同じ二人芝居ということで二番煎じみたいに思われるのも嫌だったんです。だからできるだけ重いテーマで、笑いなしで90分間、勝負しようと。それは脚本家、そして演出家としての挑戦でもあるし、俳優さんたちにとってもすごく高いハードルだと思うんです。そういうことにも、これまでにいろいろな作品で経験を積み重ねてきた今だからこそ、挑戦してみたかった。だからそういった部分も楽しんでもらえたらと思います。

「三谷作品=コメディ」という印象が強いので、まったく笑いのないシリアスな作品というのは、ちょっと想像ができないですね。いやがうえにも期待が高まります。


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